「一卵性双生児のあいだで卵巣移植に成功」兵庫県川西市/ふかみレディースクリニック 婦人科・産科・麻酔科(ペインクリニック)

http://www.wish-fukami.com/gynecology/0001.html

一卵性双生児のあいだで卵巣移植に成功したことが、Sherman J. Silberらにより、ニューイングランドジャーナル誌に報告された。双生児の一人は、14歳のときに、卵巣機能不全に陥った。もうひとりは、問題なく、3人の子供を出産した。24歳になって、健常の双生児より片側の卵巣皮質が切り取られ、他方の双生児に移植された。移植は血管の吻合は必要とせず、皮質の髄質への縫合のみで行われた。移植を受けた双生児は、3ヶ月後には、月経が回復し、次の周期には、妊娠成立、38週目に健康な女児を出産した。今回の報告は、一卵性双生児間という限定された状況下での成功だが、今回の成功で、応用の可能性がひろがる。
若年で子宮癌、卵巣癌になった場合、化学療法、放射線療法をうけて、癌は克服できたが、卵巣機能が廃絶してしまうといった例が多くみられる。病気はなおったが、妊娠できなくなってしまうわけである。さらに卵巣を冷凍保存する技術が開発されれば、今回の方法とあわせて、癌の治療前に卵巣組織を保存しておき、治療後に卵巣機能を回復することが期待される。
筆者もこれまでに若年者の癌の治療を担当し、卵巣機能がうばわれることに心を痛めてきた。今回の報告が応用されるようになれば、若年の癌患者にとって福音であり、とても喜ばしいことと思う。

参考文献
N Engl J Med 2005;353:58-63
Obstetrical & Gynecological Survey 2006; 61:25-26