「ピルは自然に反するか」兵庫県川西市/ふかみレディースクリニック 婦人科・産科・麻酔科(ペインクリニック)

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外来でよく、避妊のためはもちろんのこと、生理痛をやわらげたり、生理の量を減らすことをねらって、ピルを使うことを提案しますが、拒否にあうことがしばしばです。いわく、薬で排卵を止めるような不自然なことはしたくない。しかし、本当に不自然でしょうか。 現代の女性は少子化のため、昔の女性に比べて生理の止まる期間が短い、つまり排卵の回数がずっと多くなっています。一回の妊娠で授乳期とあわせて2年間排卵が止まるとすると、10人出産した女性は20年間、つまり生殖期間(10歳から50歳として)の半分は無排卵で過ごしたという計算になります。それに対して、平均1人しか出産しない現代女性は、生殖期間の大半を排卵して過ごしていることになります。排卵の回数が増えて、現代では、子宮内膜症卵巣がんがふえてきているともいわれています。(実際、ピルを長期間服用することで卵巣がん罹患率が下がることがわかっています。) こうして考えてみるとピルを使って排卵を止めることは、体に悪いことではなく、あながち自然に反するともいえないのではないでしょうか。